スニーカーの人気を測るバロメーターは、話題性と希少価値が大半を占めてきた。どれくらいHYPEでプレミアム感があるかという価値観が空前のスニーカーブームの屋台骨を支え、成長させてきたと言っても過言ではないだろう。そういった勢いは現在も続いているが、真逆を行くようなモデルにも注目が集まっている。その代表格と言えるスニーカーが、〈adidas（アディダス）〉最古のモデルとして知られるSAMBA（サンバ）だ。ブラジルを代表する音楽であるサンバから名付けられたこのスニーカーは、〈アディダス〉創業直後の1950年、当時ブラジルでサッカーワールドカップが開催された年にフットサルシューズとして誕生。その後、日本ではシンプルなデザインと特徴的なブラウンのガムソールが人気となり、1990年代のストリートシーンに浸透。当時のサッカー経験者やブームを知っている方であれば、どこか懐かしい気持ちになるのではないだろうか。2023年の現在、ファッションシーンにおいては「バックボーンへの理解・関心」が重要なキーワードとなりつつある。長い歴史を持ち、ファッションの系統を問わずにただ履くだけでサマになる〈アディダス〉サンバは、安直なトレンドを超越した永遠のスタンダードとしてますます魅力を高めている。