映画「Stand by Me（スタンド・バイ・ミー）」の少年たちは生まれ故郷を離れ、ひと夏の冒険に出た。あの映画で少年たちが身に着けていたのは、穿き古したリペア跡のあるジーンズと白やボーダーのTシャツ、〈CONVERSE（コンバース）〉のオールスター。いずれも量販店で誰でも購入できる安価な洋服だが、アメリカの片田舎で時に傷つきながらもたくましく生きる少年たちの普段着としては、頭から爪先までリアルだった。そして、青春映画の金字塔と評されるこの映画と〈Boys in Toyland（ボーイズ イン トイランド）〉にはどこか近しい雰囲気がある。
「おもちゃの国の少年たち」というブランド名を持つ〈ボーイズ イン トイランド〉は、現実世界に少年時代特有のきらめきとノスタルジーを反映する。1970～80年代の企業系ワークウェアからインスパイアされた洋服には過度な装飾などは一切見当たらない。そこにあるのは、誰もが気兼ねなく着られるオールドスクールなアメリカンカジュアル／ワークテイストと現代的なセンスの融合。2023年秋冬コレクションでも、初めて洋服に夢中になった「あの頃の高揚感」を思い出させるデザインが揃った。