〈DIADORA（ディアドラ）〉というブランド名に聞き覚えがなかったとしても、"イタリアの至宝" と呼ばれた元サッカー選手のロベルト・バッジョや、イタリア史上もっとも偉大なサッカー選手の一人に数えられるフランチェスコ・トッティ、ウィンブルドン選手権5連覇を成し遂げた元プロテニス選手のビヨン・ボルグ、または伝説的なF1レーサー、アイルトン・セナの名前は知っているだろう。サッカーとテニス、モータースポーツはまったく違う世界だが、それぞれが〈ディアドラ〉のシューズを時には競技中に、そして時には休日に愛用していた。

イタリア共和国成立から2年後となる1948年にイタリア・ヴェネト州カエラーノ・ディ・サン・マルコで誕生した〈ディアドラ〉は、イタリアにおけるスポーツシューズの開発や製造における中心地で創業したことを活かし、登山用シューズメーカーとしてスタート。その後1970年代からヨーロッパで圧倒的な人気を集めていたテニスやサッカーのシューズやギア製造を開始し、上に挙げた著名なプロスポーツ選手も愛用する一大ブランドへと成長する。まだインターネットがなかった時代に彼らがこぞって〈ディアドラ〉を愛用したのは、ひとえに製品のクオリティが高かったからに他ならない。

そして2024年、〈ディアドラ〉が3年ぶりに日本に再上陸した。数年前から製造拠点を海外から国内へシフトさせるリショアリングを行っている現在の〈ディアドラ〉は、かつてないほどハイクオリティなもの作り体制を整えている。近年主流だったレアモデルによるHYPE至上主義が陰りを見せている中、改めて見直したいのは本質の良さを届けてくれるブランドだ。イタリアンメイドの美しさと個性、クラフツマンシップを持つ〈ディアドラ〉のスニーカーは、今の時代にこそふさわしい。