このスニーカーに既視感を感じる人はきっと多いはず。あるいは「GERMAN TRAINER（ジャーマン トレーナー）」というモデル名に聞き覚えがある人もいるだろう。ファッション通であれば、〈Maison Margiela（メゾン マルジェラ）〉が1998年にリリースした「GERMAN TRAINER REPLICA（ジャーマン トレーナー レプリカ）」を思い浮かべるのではないだろうか。実際、TATRAS CONCEPT STOREでも取り扱いがある「レプリカ」は、実に20年以上にわたって定番アイテムとして愛され続けている。でも、なぜ商品名に「レプリカ」と付くのだろう？そもそもジャーマン トレーナーって何？
この記事ではジャーマン トレーナーの歴史を簡単に振り返りながら、オリジナルとして復活した〈German Trainer Original（ジャーマン トレーナー オリジナル）〉にフォーカス。その魅力を紹介する。

ジャーマン トレーナーの歴史は、1950年代にドイツ軍（旧西ドイツ軍）の軍用トレーニングシューズとして正式に採用されたことから始まる。当時の東ヨーロッパ（主にチェコ、スロバキア、ボスニア）には大規模な靴の製造工場が数多くあり、良質な軍用シューズを生産していた。製造時期が終わると機材や素材などはすべて軍によって処分されるため、オリジナルのジャーマン トレーナーの詳細はいまだに不明だ。当時製造・使用されていたオリジナルを手に入れるためには、ドイツ軍からの払い下げ品か委託製造業者の欠品充当分の出回り品、もしくはヴィンテージ（偽物の可能性あり）を購入しなくてはいけないため、現実的に不可能と言っても過言ではない。しかし、これを可能にした唯一の人物が日本にいた。それが「タナカユニバーサル社（現リベルテーク社）」創業者にして、現代に本物の〈German Trainer ORIGINAL （ジャーマン トレーナー オリジナル）〉を復刻させたデザイナー、田中清司だ。