新時代のヴィーガンフットウェアブランド VIRÓN に迫る

国連貿易開発会議(UNCTAD)で、ファッション業界が「世界2位の環境汚染産業」であると指摘されたことをご存じだろうか。ファッション業界は毎年930億立方メートルもの水を使用し(500万人のニーズを満たす量に相当)、約50万トンものマイクロファイバー(石油300万バレルに相当)を海洋に投棄している。さらに、温室効果ガス(GHG)排出量は合計12億トンのCO2に相当し、国際航空業界と海運業界を足したものよりも多いと言われている。環境保護に対する機運が高まり、ファッション業界が地球環境に与える負荷がクローズアップされた現代において、サステナブルであることを重視することはごく自然なことだ。というよりも、もはやそれを無視して生き残れる未来はほとんどないと言ってもいいだろう。
そんな中フランス・パリで誕生した〈VIRÓN(ヴィロン)〉が注目を集めている。同ブランドのコンセプトは「FROM EARTH, FOR EARTH」。デザイナーは「ファッションのために動物を殺す必要性がない。環境に配慮した持続可能性を理念に持つことはもはや義務だと考えている」という考えを発表しており、それを裏付けるように倫理的に調達された再生素材(食品廃棄物から作るアップルレザーやリサイクルコットンなど)をすべての製品に採用。可能な限り未使用の材料は使わず、製品を梱包するシューズボックスは100%リサイクルダンボールを採用するなど、頑ななスタンスを貫く。コンセプトも製品作りも、まさに新時代をリードするフットウェアブランドなのだ。本稿では、モードにもカジュアルにも合わせられる高いデザイン性を持ちながら、透明性と持続可能性、品質を保証する〈ヴィロン〉にクローズアップする。


1969 IN SHERLINGは、クラシックなデザインにメタルのブランドロゴを配置し、リンゴの廃棄物から作られたアップルレザーとリサイクルラバーを使用した次世代型ローファー。ラウンドモックトゥの柔らかな印象と分厚いソールが混ざり合い、オーセンティックでありながらどこか近未来的な雰囲気を放つ。脱ぎ履きが楽なスリッポンタイプなのでオールシーズン着用できる点も嬉しい。
定番モデルとして高い人気を持つ1992 IN BLACK APPLEは、パンクやモッズといった90年代のサブカルチャーからインスパイアされたエッジーなルックス。側面に各箇所に使われる素材に関する情報がプリントされたミニマルなデザインにも注目してほしい。こちらもアップルレザーとリサイクルラバーを採用し、堅牢な見た目の印象を裏切る軽やかな履き心地である点も魅力だ。


足元をすっきりとしたモードテイストにまとめたいなら、チェルシーブーツタイプのPARADIGM IN BLACK APPLEがもっともおすすめ。美しい曲線を描くアッパーと男性的なソールが足元に強い存在感を与えながら、あらゆるウェアになじむ汎用性を持つ。両サイドに伸縮性のあるガゼットが設けられているため、ハイカットにもかかわらず着脱がイージーであるところもポイント。こちらもアップルレザーとリサイクルラバーを使用している。
レースアップシューズのALTER IN BLACK APPLEは、トラッドなアッパーと分厚いソールのコンビネーションでファッション性を高めた一足。英国的なムードに退廃を加えた先鋭的なルックスと、クラシカルな革靴ではあり得ない抜群の着用感を堪能できる。もちろん素材はサステナブルなアップルレザーとリサイクルラバーだ。
高い次元で環境に配慮しながらデザイン性を犠牲にしない〈ヴィロン〉のヴィーガンフットウェアは、ようやく訪れた秋冬シーズンにこそ楽しみたい。責任あるラグジュアリーを体現する気鋭ブランドの最新アイテムを以下のリンクからチェックしよう。
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