H.I.P. MAG CHALLENGE A DAY VOL.6 河内 一馬/鎌倉インターナショナルFC 監督兼CBO

目まぐるしく変化し続けるこの世界で、挑戦を楽しんでいる人たちがいる。
彼らは敢えてオフロードを選んで走り、障害物があればその飛び越え方で悩むことさえ楽しんでいるように見える。
H.I.P. by SOLIDOが持つ『タフな環境下でも快適さと自由さを兼ね備えた“Contemporary Work Wear”』としてのアイデンティティと共鳴する人たちに聞いた、挑戦し続けるクリエイティブ・ワーカーの人生観。

「なりたい自分よりも、
なりたくない自分にならないように」。

国境や人種、宗教、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆるボーダーを越境していくサッカークラブとして2018年に設立された鎌倉インターナショナルFC(通称鎌倉インテル)。河内一馬は、そんな同クラブの監督でありながら、CBO(Chief Branding Officer)としてクラブのブランディングを担当する役職を兼任するという、日本、いや世界を見てもあまり例がない活動スタイルを貫く。その上、その活動領域は鎌倉インテルだけに留まらず、NPO法人「love.fútbol Japan」の理事や執筆活動も行っており、現在は本も製作中。そんな彼も高校までは、フィールドの中のプレイヤーの1人だった。

「18歳でもう燃え尽きてしまって、サッカーから完全に離れようと思ったんです。でも、小さい頃からずっとサッカーしかやってこなかったので、他に興味があることもなくて。どうすれば良いのか分からなくなってしまって」。そこで東京に生まれた河内は、漠然と生まれ育った土地から出ることを考え、新潟のサッカーの専門学校へ進学。なんとなく手に職でも付けようとスポーツトレーナーを目指す学科に入るも、自分が将来トレーナーをしている姿が全く想像できなかったという。そんな迷いを持ちながら、河内にヒントをくれたのはやはりサッカーグラウンドだった。「学校のグランドでサッカーをやっている選手たちの姿を見ていたら、色々とアイデアが浮かんできて、外からサッカーを見ることの楽しさに初めて気付きました。もしかしたら、自分はコーチや監督をしたいのかもと思い始めたんです」。

迷いながらもコーチとしての仕事を始め、また再びサッカーの道に戻ってきた河内の憧れとなったのは、名将ジョゼ・モウリーニョだった。「すごいカリスマ性があって、当時の自分には異常にカッコ良く見えたんです。そこから、もし自分が将来監督して仕事することがなかったとしても、一度ヨーロッパのサッカーを見ておきたいという思いが強くなって、全部仕事を辞めて色々な国のサッカーを観に行ったんです。その旅の終わりに財布と荷物を全て盗まれてしまって、アイルランドのバーで途方に暮れているときにチャンピオンズリーグの試合がやっていて。それを観てる時に、初めてプロのサッカー監督になりたいと確信を持ちました。僕はサッカーのエンターテインメント性に惚れ込んでいて、映画や舞台など他のエンターテインメントも好きでよく観るんですが、やっぱり自分にとってはサッカーが一番。それを自分で創造できるサッカー監督という職業に魅力を感じています」。荷物一つない手ぶらでの帰国ながら、奇しくもサッカー監督という大きな目標は持って帰ってくることに。

しかし、プロの監督を目指す上でまず障壁として立ちはだかるのがライセンスの獲得だった。「日本のプロチームの監督ライセンスには推薦やお金が必要だったりして、なにもコネのない若い人が取得するのが極めて難しいシステムになっています。そういう年功序列というか、順番待ちをしなきゃいけないことにすごく納得がいってなくて。でも、口だけで不満を言っていてもしょうがないので、そこに対して人生を懸けて何かアプローチできないかと考えるようになりました」。

そして彼が次に選んだのはサッカー大国である南米のアルゼンチンだった。「海外に行って、海外の監督ライセンスを取り、それで監督をやろうと思ったんです。自分が持っている南米サッカー連盟の最上位ライセンスが日本で有効なのかは、前例が無いので誰も分からないです。ただ、日本のそういったシステムに異議が唱えるには、結果を出してから初めて主張をできると思ったので、そのための準備としてアルゼンチンに行きました。自分がやりたいことは水面下で動いていても変えることができないことだと思っていて。議論を巻き起こし、話題を作らないといけない。そういった中で、サッカーを勉強するためにヨーロッパに行く日本人は結構いるけど、南米に行く日本人はあまりいなかったので、アルゼンチンを選んだというのもあります」。

そんな河内がアルゼンチンから日本へ帰国し、活動の場所として選んだのは神奈川県リーグ2部に所属する鎌倉インテルだった。「以前はできる限りプロに近いカテゴリーで監督をしたいと思っていたので、新しいクラブは頭にありませんでした。でも、アルゼンチンでの、“サッカーが社会に与える影響の大きさ”にビックリして。自分が日本に帰って、仮にこのまま監督として成功できたとしても、社会には何の影響もないし、何になるんだろうと思ってしまって。その時に、以前話したことのあった鎌倉インテルのことを思い出して、鎌倉という街にも魅力を感じていましたし、その街でクラブの監督とブランディングをして、ほとんどゼロから新しいものを作ることができれば、社会に影響を与える仕事をすることができるんじゃないかと考えたんです」。

サッカーだけではなく、サッカーから派生する日本特有の問題に対しても河内はクリティカルに捉えている。「サッカーをしているとわかるんですが、子供でもサッカー以外の時間が全然ないんですよね。自分がそうだったように他の事に興味を持つ暇がない。例えばファッションとか他の文化に興味を持つチャンスがない。それって見た目がダサいってことだけでなく、自己表現ができないとか、サッカー以外のことを知らないとか様々なことに関係してくると思います。僕らサッカーをやっている人間が、教育のことを直接変えていくのは難しいかもしれませんが、サッカーをやっている大人たちが子供たちに憧れられるイケてる集団になれば、それもちょっとずつ変わっていくんじゃないかなと思います。僕は子供たちにサッカーが人生の全てじゃないよということはずっと言っていきたい。他の興味があることを勉強したり触れたりすることで、サッカーにも良い影響を与えると思うので」。

様々な課題に対し常に自分なりの解決法を導き出し、果敢に挑戦をし続ける彼のモチベーションはどこから生まれているのか。「子供の頃、周りの子たちに比べてプロになりたいという気持ちが僕は絶対に弱いなと思っていて、それがすごくコンプレックスでした。でも、今は何かになりたいというより、なりたくないという思いの方が強いのかなと思うようになって、だいぶ楽になりました。やりたくないことをずっとやっている人生にはしたくないとか、歳をとるまで順番待ちしている監督になんて絶対になりたくないとか、誰のモデルにもならないような監督になりたくないとか。ネガティブに聞こえるかもしれないけど、そんなことはなくて。僕は意外と、こういう人間になりたくないなと思った時に、一番エネルギーが出る気がします」。

河内一馬さん着用ウェア

モダンに仕上げたシンプルなセットアップです。
表面に美しい光沢のあるナイロンを、裏面には肌触りの良いナチュラルな風合いのコットンを使用しています。国内に一台しかない希少な編み機を使用し、極限まで生地の度目を詰めることで、ナイロンと綿両方の良さを最大限に引き出しました。
シーンを選ばない汎用性の高いジャケットと、脚を長く美しく見せるために計算しつくされたスリムシルエットのパンツはセットでも単体でも使やすいアイテムです。

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他分野を通してサッカーを解明し、サッカーを通して他分野を解明するnote「蹴球症候群」

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Producer / Art Director:SEE BY

Photographer:Yohji Uchida

Editor&Writer:Sota Nagashima