H.I.P. MAG CHALLENGE A DAY VOL.2 赤坂真知

目まぐるしく変化し続けるこの世界で、挑戦を楽しんでいる人たちがいる。
彼らは敢えてオフロードを選んで走り、障害物があればその飛び越え方で悩むことさえ楽しんでいるように見える。
H.I.P. by SOLIDOが持つ『タフな環境下でも快適さと自由さを兼ね備えた“Contemporary Work Wear”』としてのアイデンティティと共鳴する人たちに聞いた、挑戦し続けるクリエイティブ・ワーカーの人生観。

「これしかないとようやく思えた」場所を選ばない"ノンアルコールバー"ができるまで

「Bar Straw(バー ストロー)」主催、赤坂真知。彼はシックなバーカウンターの中でベストを着てカクテルを作る、いわゆる普通のバーテンダーではない。花々に囲まれた都会の一角、ストリートカルチャーを感じるピザ屋、海が目前に広がる南国のチョコレート屋、神出鬼没に現れては、お酒ではなくノンアルコールドリンクを振る舞う。

「僕、昔ウォーターボーイズだったんですよね」。赤坂さんの活動の原点を探るべく話を聞くと、予想外な一言が返ってきた。

「夜中までシンクロの練習をして、自転車担いで校門をよじ登って出て、本当に映画の世界みたいで楽しかった。でも、2年生でシンクロが終わった後、それまで勉強も全くしてこなかったから、やりたいことが無くなってしまって、学校も辞めてしまったんです。そこからずっと自分は何がやりたいのか分からない人生だった」。

大学に進学するも就活はどこも受からず、漫画の編集、徳島で藍染の仕事、ギャラリーのスタッフ、ジャンルや業界問わずちょっとでも興味あることには首を突っ込んできたという。「学生の時点で、デザイナーになりたいとかカメラマンになりたいとか、夢を持っている人がすごい羨ましかった。コンプレックスじゃないけど、自分はエントリーシートの前で考えても何も分からなかったので、とりあえず色々なことに手を出してみた。そうやって仕事にしたいと思えるものを探し続けた10年間を経て、今ようやくこれだと思えるもの”ノンアルコールカクテル”に出会えたんです。たまたま周りに世界で活躍してきた素敵なバーテンダーたちがいて、手探りで活動を始めた自分にも、そういうプロフェッショナルの人たちは色々教えてくれて、応援してくれた。まず始めてみることも大事なんだなと気付きました」。

そんな赤坂さんが今ホームグラウンドとして活動するのは、渋谷PARCOの路面に構える「THE LITTLE BAR OF FLOWERS」。日中はフラワーショップ、夜はワインスタンドに姿を変える異色の花屋兼バーだ。そこで火曜日と水曜日にノンアルコールバー「Bar Straw」を営業しつつ、他にも様々な場所にて美味しいノンアルコールドリンクを提供。彼の作るドリンクはどんな場所やシーンにもスッと寄り添う。

「最近だとレストランのランチタイムに一ヶ月まるっとペアリングのドリンクを作りに行ったり、畑直結のレストランのオープニングで、出荷できなかった葉や根っ子を利用してドリンクを作ったりもしました。液体にしちゃうから葉が固かろうが関係ないんですよ。サスティナブル的な話だけじゃなくて、単純に使われてこなかったものを使えるアプローチがあるということを提案できるのがおもしろいですね」。

日本は海外に比べると、まだバーやカクテルに対してハードルが高かったり、馴染みのない人が多いのも事実。「色々な場所でやっていると、それだけタッチポイントも増えるし、自分が普通に生活していたら関われない人たちにも届いて欲しいと思う。バーやカクテルシーンの外側、馴染みがないけど興味がある人や自分より若い世代とか、それらが繋がって少しでも飲食のシーンに恩返しができたらいいなって」。

カクテルやバーカルチャーをもっとカジュアルなものへ。その想いから生まれた理想は、どこでも美味しく飲めるカクテルだった。「今後の展望としてはお店を作るんじゃなくて、プロダクトを作りたいと思っています。カクテルのペアリングをガッツリやっているレストランって世界にはいっぱいあるんですけど、日本だと客単価3万円みたいなレストランになってしまって、それも日本に何軒あるんだろうっていうレベル。普通のお店だとオペレーション的に難しくて、人を新たに雇わないといけない。それが難しいから、栓を抜いてそのまますぐ出せる烏龍茶を出すしかない。それと同じように僕が作ったカクテルを、栓を抜くだけで出せるようなプロダクトを作りたいんです」。

お酒ではなくノンアルコールドリンクを選んだ理由も、彼は決してお酒が飲めない人のためだけにやっている訳ではないという。「例えば1200円ぐらいのランチに行っても、普通セットで付くのはコーヒーかお茶か自家製ジンジャーエールかみたいな世界じゃないですか。お酒が好きだとしても、仕事の合間やお酒が適さないシーンでも飲んで美味しいとなるノンアルコールドリンクがあれば、話のネタにもなるし、いい時間になるんじゃないかなと思うんですよね。そういう隙間を拡張して、豊かにしていきたい。ドリンクの選択肢はもっと多様になれる余白がたくさんあるはず。自分が店を一つ二つやるよりも、そうやって入り込んでいった先にどういう景色があるんだろう、ということの方に興味がありますね」。

そして、そんな赤坂さんが今ベンチーマークに掲げるのは、誰もが知るあの有名飲料ブランド。「最近よく言っているのは『レッドブルになりたい』ということ。エナジードリンクという言葉を突如作って、それを言い続けたことによって、お酒でもなくジュースでもない謎の市場を作った。それは本当にすごいことだなと思いますし、自分もそこにいきたい」。

苦悩しながらも探し続け、ようやく自分のやるべき事を見つけた人は強い。そんな彼の背中をさらに後押しする言葉が最近あったという。「究極的に自分は本当に飲み物を作りたいのかと言われると分からない。でも、これを自分の仕事だなと思い込めるものが現れただけでラッキーだなと思う。先日ポン・ジュノがアカデミーの受賞スピーチで『最も個人的なことが最もクリエイティブなことだ』というマーティン・スコセッシの言葉を引用していましたが、すごく良い言葉だなと思って。それは別に映画に限った話じゃなくて、なにが自分にとって個人的なことなのかを突き詰める作業って、何をするにしても大切だなと思います」。

「今僕がやっていることは、やったらいいじゃんと声をかけてくれた先輩がいたり、たまたま近くにいた一流のバーテンダーたちが色々教えてくれたり。周りの環境があって始まったことなので、すごく大切にしたい。ノンアルがブームという言説が今ちょっと流れ出していると思うんですけど……、僕は本当にこれしかないと思って藁にもすがる思いで始めているので、マーケティングで後からやってくるような人たちには絶対負けたくないと思ってます(笑)」。

赤坂真知さん着用ウェア

LEADER BIKEとのコラボレーションアイテム。ナローラペルとボクシーなシルエット、隠しドットボタンによりモダンな仕上がりに。自転車を乗ることを想定して設計されているため、どんなアクティブシーンにも対応したストレスフリーなジャケットです。
また、バックのウエスト部分にジップポケットを採用。パッカブルポケットとしても機能し、ジャケットを小さくまとめることができるので、持ち運びも便利です。

Information

Bar Straw

住所:東京都渋谷区宇田川町15−1 渋谷パルコ1F(THE LITTLE BAR OF FLOWERS内)

TEL:03-6455-0539

営業時間:毎週火曜・水曜 18:00~

※営業時間は昨今の情勢に伴い変動するので、その他イベント情報含め最新情報は下記インスタグラムをご確認ください。

Bar Straw

TATRAS CONCEPT STORE

STAFF

Producer / Art Director: SEE BY

Photographer: Yohji Uchida

Editor: Sota Nagashima